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会社設立30周年の2028年1月16日が「社長引退の日」です。
次の社長候補も決めました。残り時間は12年。
今期より社長交代の準備をはじめます。早ければ「次の次」は2041。
とはいえ、育成方針みたいなもんはまだ何もないので、とりあえず「社長の背中を見て勝手に学べ」と。
左から2番め:株式会社カネヘイ・宗和会長。この一か月後に急逝。
老いていく自分と生きつづける会社──第20期 経営指針発表にあたって
※これは当社の「第20期 経営指針書」からの抜粋で、基本的には社内文書なのですが、さしさわりないので公開しています。
売上は対前年
4%の微増。これで辛くも最高更新は
6期連続、黒字決算は
14期連続。
あいかわらずセコく無難にまとめたように見える数字でしょうが、昨期は消耗しました。総括すると、とても
「めんどい」1年でした。
キツかったし、社員のみなさんにも苦労をかけました。特に山岡さんには想定外な負荷がかかってしまい、いろいろ申し訳ない気持ちです。
苦労かけただけなら謝ってすませるところですが、賞与も出せず、
見返りがありませんでした。会社が赤字にならなかったといっても、これでは自慢にならないどころか恥ずかしい結果です。
社員のみなさんには、これからもっと、いい思いをしていただきます。給料もいっぱい出したいし、休みも余裕で取っていただけるようにしたい。駅から近くて日当たりのいい家を買ってほしい。
満足な給料と休みを出せない経営者は失格。早く交代したほうがいい。
わたしの人生の主要な部分は終わったと思います。
今年55歳、まだ10年や20年は現役でガツガツやる気ですが、この歳になると、誰が亡くなったとか倒れたとか、入院とか手術とか、どこそこの会社が廃業したとか売却とか、身近なところで毎年いくつか必ず耳に入ってきます。
命がいつまでもあると錯覚してたらあかんという警告でしょうけれど、わたしは準備不足。いつ死んでもだいじょうぶといえる環境にはかなり遠い気がします。
自分の肉体が老いていくいっぽうで、娘はまだ中学生、息子は小学生。知らなかったではすまされませんが、驚くほど学費がかかりはじめました。
この世に執着を残して死んでいくのは本意ではありません。譲れるものは生きているうちに、早めにぜんぶ譲っておきましょう。
めんどくさいものばっかりかもしれませんが、譲り受けて引き継ぐメリットはあるはずです。
いちばんメリットがあるのは誰か、よく考え、心地よくフェイドアウトしたいものです。
他人にはマネができないこと、自分にしかできないこと。それが競争力であり、価値だと考えてきました。
トンガって、ややこしくして、フタして、見えにくくして‥‥。
ところが
「引き継がれる」視点に立てば、これがひっくりかえってしまいました。
誰にもマネができないなら教えることもできません。これからは反対に、方法が伝わりやすく、マネしやすいことが価値なのだと考えることにします。
1年後、会社は
20周年を迎え、
10回めの経営指針発表会を開くことになります。大きめの風呂敷を広げるとしたらそこでしょう。今回は、これまででいちばん控えめな中味になりました。すいません。
2017年1月16日
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追記:宗和さんを偲んで
経営指針発表会にゲストでお越しいただいてからわずか一月。あまりにも早すぎる宗和さんの急逝。
わたしと同じ1962年生まれ、少し早く55歳になられたばかり。
ジョギング中の心筋梗塞とのことですから、儚いもなにも、これは、いつ同じことが自分に起こってもおかしくありません。
昨年1年間の自分の想いを漢字であらわしたら
「儚」でした。
「命がいつまでもあると錯覚してたらあかん」と、経営指針の発表にあたって縁起でもないことを書いてしまった矢先にまたこんなことが起こるとは。
これはいったいどういうメッセージでしょうか。
第20期の経営指針書では、次の社長のことや息子の将来のことをたくさん書きました。
承継の準備を急ごうという焦り‥‥というよりも、5年先、10年先を描いていたら自然とそういう気持ちになりました。
良いかどうかは別として、社長の一存でなんでも決められるのは小っこい会社の特権みたいなもんですから。
当社の経営指針に対する宗和さんの感想第一声は
「超プライベートカンパニー宣言やなあ」でした。
「逆に、ここまでハッキリいまのうちから言い切っておくほうがええかもわからんなぁと思いますわ」と。
多くの人にとってそうだったように、宗和さんは、わたしにとっても良き理解者でした。合同一泊研修や人事評価制度づくりの勉強会など、当社主催イベントにもしばしば参加してくださいました。
一時期お仕事もいただいてました。当社が新卒採用に取り組みはじめた当時、中小企業家同友会で共同求人委員会の委員長をされていたのが宗和さんだったこともあり、人財についての悩みや愚痴をなんべん聞いていただいたことか。
諸先輩方からは叱られることのほうが多いわたしには、あたたかさが身に染みました。
ぽっかり。悲しいです。
第6回 合同一泊研修(2016夏)にて